« 北海道4days 2017 Day4 | メインページへもどる

     

2017年08月06日

川西ルーキーズクロスR2、思春期たいせいのペイフォワード


たいへん遅くなりましたが、7月30日(日)に行われた「川西ルーキーズクロスR2」のレポートです。


土砂降りからの激マディを覚悟して、新品タイヤを履いて臨んだ方の多い第2戦。


ですが、誰の行いが良かったのか、川西マジックによるものか、予報に反して雨は降らず、朝起きてみれば何やらベスコンの兆し。


さて、初参加の方がいなかった今回のルーキーズクロスR2。

いつもなら、開会式で大会委員長の@BOSSが「ペイフォワード」の意味について話をするのですが、今回はいつもと異なる話を始めました。

R2のブログは、いつものレースレポではなく、この話を中心に書こうと思います。

-----


このブログにもたびたび出てくる、「かまたのバイク日記」準主役級の「パイセン」こと「たいせい」。

彼との付き合いも7〜8年くらいになります。


たいせいがまだ小さくて可愛かった頃。


もっと小さくて可愛かった頃。



ルーキーズ以外でも、アトラスのイベントを指示なしで手伝ってくれる、なかなか頼れるヤツです。

が。

中3という思春期特有の反抗期のせいか、最近は親子で度々衝突するらしく、それが原因で今シーズンの関東選手権への参戦も延び延びになり、つい先日ようやく初参戦したばかりでしたが、ここに来て再び沈黙。
練習にもレースにも参加しない状態でした。

ルーキーズR2の当日も来ないかと思われていたたいせいに、@BOSSは、

「来ないつもりか?
親と喧嘩していようが何していようが、ルーキーズに手伝い&出場するのは、たいせいの俺に対する恩返しだと思うが。」

とメールを送ったそうです。

すると、土曜日の朝、すでに川西に来ていた@BOSSにこんな返事が。

「日曜の朝行きます。
ただ、俺は今走りたい気持ちではないです。
多分、走っても気持ちよく走れないです。」

@BOSSは無言のまま、そのメールを私に見せてくれました。
その日、@BOSSはたいせいに返信をするわけでもなく、淡々と翌日のレース準備を行っていました。

そして迎えたルーキーズR2当日。

「走りたい気持ちはない」と言っていたたいせいは、前日から来ているお父さんたちとは別で、お母さんの車の後部座席に乗って暗い表情で川西にやってきました。
そんなたいせいに@BOSSは何か話しかけ、そのまま自分のウエアとヘルメット、そして私のブーツと、レースに必要な一切を渡しました。
@BOSSからどんな話があったかはわかりませんが、たいせいは黙々と手渡されたウエアに着替え始めました。

開会式。
大会委員長挨拶で@BOSSが話したことを、後から聞いた説明を加えて書かせて頂きます。

@BOSS自身がモトクロスを始めた当時、車の免許もなく、バイトをして買ったYZ125をDT50で引いたリアカーに乗せて2時間かけて川西に通っていました。
そのうち、そんな様子を見兼ねた周りの多くの方々が協力してくれるようになり、皆さんに支えられ助けてもらいながら走るように。
関東選手権のノービスクラスで、予選10組、100台以上がエントリーしていた時代です。
そのうちに1983年型のCR125をサポート貸与して頂けることになりました。
せっかくそこまでしてもらえたのだから、がんばって良い成績を残すのが恩返しだと思って、前にもましてトレーニングと練習に励みました。

でも、その年の雪が消えたばかりのゴールデンウイーク中の練習で、@BOSSはアクションジャンプのマネ事をし、マシンを捻って飛んでいた時に、左足首を強打して怪我をしてしまいました。

1週間たっても2週間たっても怪我は良くなりません。
でも、せっかくマシンを貸してもらっていたので、痛みをこらえ足首をテーピングでグルグル巻きにしてレースに出ていました。

もちろん痛くて満足に走れませんが、「良い成績を残すことが恩返し」だと考えていたので。
その後もテーピングを巻きながら8月までレースに出ていたそうですが、まったく成果も上がらず、周りの勧めで夏休みになってからようやく病院へ。

レントゲンを撮ってみると、左足首のくるぶしは骨折していました。
医者に「こんなになるまで、何やってたんだ!」と大怒りされたそうです。

4か月も無理して走っていた骨折部分は、偽関節になってしまい、もう骨をくっつけることが出来ず、摘出手術を受けるしかありませんでした。
@BOSSの左足首のくるぶしは、今でも半分骨がありません。

その年の後半は当然走ることも出来ず、@BOSSはそこで最初の引退を迎えました。

-----

当時、自分のモトクロス参戦を支えてくれた方々、応援してくれる方々、マシンを手配してくれたクラブショップの社長、そんな皆さんへ恩返しがしたくて、怪我を押して必死になって頑張っていた気持ち、その結果がいいか悪いかを言うわけではありませんが、その時の骨折の痛みを我慢してまで4か月も走った自分の気持ちを、たいせいには伝え、判ってほしかったそうです。

たいせいは、マシンもウエアも親が買ってくれて、練習にもレースにも親が運転して連れて行ってくれて、もちろんエントリーフィーも払ってもらっています。


今回のルーキーズにも、「本人は出るか出ないか判らないけれど。」と言いながら、お父さんである村木さんは事前にエントリーをしてくれていました。

@BOSSが現役だった頃、当時の選手権は、エントリーフィーも125ccと250ccのダブルエントリーだったので、今よりさらに大変でした。
ウエアやギア、部品代、エントリーフィー、そのすべてをアルバイト代で賄って、それでも足りず、クラブショップの社長が何年もたまったツケを分割で待ってくれたそうです。

一方、今のたいせいは、全て親が出してくれています。
それを「当り前」と思うか、「ありがたい」と思うか。


また、@BOSSはたいせいを「デカールサポート選手」として応援もしていました。

R2当日、ウエアも持たずに会場に来たたいせいに、@BOSSは、

「お前は、親や周りの人にありがたいという感謝の気持ちを持って、走れることの幸せを判って、走らなきゃならない。」

「自分が楽しいとか、気持ちいいとかも大切だけど、それだけでなく、ありがたい、恩返ししよう、そんな気持ちを持って走る必要がある。」

「親がエントリーフィーを払ってくれているのに、今日(走れるのに)走らないなんて、俺は許さないよ。
俺のウエアとヘルメットを貸すから、デカいとか文句言わずそれを着て走りなさい。
そして、親や周りの人や俺に、その走りで恩返ししなさい。
お前がどんな走りをするか、俺はずっと見ているから。」


当日の朝のたいせいとのやりとりを、@BOSSは開会式で、出場者の面前で紹介しました。


昼休み、午前のレースでセッティングが合っていなかったたいせいに、@BOSSはメインジェットの交換の仕方を教えました。


たいせいもこれを素直に習って自分で交換していました。
(おそらくこれが父親である村木さんだと反抗してしまうのでしょうけれど。)


そして、走りで恩返しせよ!と言われたたいせいが再びゲートに並びます。



この日のたいせいの走りはキレッキレでした。
2スト85でのあの走り。
見ていて鳥肌が立ちました。


85SXの限界まで開けていたと思います。
かといって危ないと思わせるようなこともなく、まるで何かが憑依したかのような走りでした。


決して@BOSSに注意されたことに腹を立てて、切れて走っているわけではなく、@BOSSが伝えたかったことを理解して、彼なりにそれを表現しているのだと見ていて感じました。
たぶん、私が知る中で、たいせいの過去最高の走りだったと思います。

驚き、そして感動しました。

閉会式。
最後のあいさつで、

「全てのクラスでトップを走ったたいせいは、Rookies Openクラスでは1周目に450の方と絡んで転倒し最下位となりましたが、そこから怒涛の巻き返しで、章典外NAのKohky選手と、同じくIB選手でもありマーシャルで走っていた父親の村木さんの2人以外の全員抜きでトップに返り咲き。
今朝、厳しく言って、どんな走りをするか見させて貰いましたが、立派な走りで恩返しをしてくれました。」
と@BOSS。

「これからも、自分の気持ちや我儘だけにとらわれず、感謝とありがたいという気持ちと、恩返しの意味を胸に走って下さい。」

そして、もうひとつのエピソードを。
日産の元ワークスドライバーで、趣味としての走りは許されず、引退後、趣味としてレースを心の底から楽しんでいる長谷見昌弘さんの話を紹介しながら、

(「優勝するのが当り前、2位以下はあり得ない。ワークスは辛いんだよ。」という長谷見さんのお話を直接お聞きした時の話は、この日のブログに詳しく書いています。)


「ルーキーズは毎回ペイフォワードというポリシーの話をしますが、私たちはプロ選手ではないので、基本的には『趣味として楽しく走る』という姿勢でいいと思っています。
ただ、「ああ、楽しかった!」というだけの「消化型」ではなくて、悔しさや課題を持ち帰って、次のレースまでに練習して、課題を克服して「ああ、一つクリアできた!達成できた!」と喜べる「蓄積型と達成型」の取り組みをしてみてください。

そのために、今日帰ったら、どんなレースだったか、反省会を家族でしてみてください。

そして、次回に向けた目標を立ててそれに向かって進んでみると、更にレースもモトクロスも、そして人生の生活も豊かに楽しく充実すると思いますので。」

そんな締めくくりの言葉でR2を終えました。

いつものクラス別のレースレポではありませんが、ルーキーズクロスの開催ポリシーが「恩返しと人の成長」であることを拙いながらもお伝えできればと、今回はこうした形で書かせて頂きました。

これは思春期のたいせいに限ったことではなく、まだ小さいキッズでも、自分でエントリーを決めることのできる大人でも、周りにいる「誰か」に支えられて今の自分がここにいるということを理解して、その感謝の気持ちで一期一会のレースを走り、そして恩返しを次の誰かに手渡していける一人ひとりに成長していく。
それがルーキーズの願いです。

そして、今回のたいせいのことを通して、最終的には本人が自分で行動を選ぶにしても、「どうあるべきか」「どうすべきか」を周りが指し示すことも大切なことであると改めて感じました。

相手を思い、大切な本質を、本音で言い合えるルーキーズでありたいと願っています。

------

最後に。
9月10日(日)の第3戦は@BOSSが不在となります。

そのため@BOSSは開会式で、
「R3を別の日にするか、それとも中止とするか、スタッフの皆さんと相談して決めます。」
と発表しましたが、この話を聞いたスタッフの遠山さん、西潟さんから、

「そういう時だからこそ、@BOSSさんへの恩返しとして、スタッフの自分たちの手でやるべきではないのか。」

「かまたさんが会社から持ってくるものは必要最低限でいい。
テントなんかは各スタッフが1つずつ持ち寄ることもできるから。
場合によってはポンダだって使わず、手集計することもできる。
@BOSSさんがいなくてもしっかりやろう!」

というありがたい言葉を頂きました。
本当にありがたくて涙が出そうでした。
ありがとうございます。
私も精一杯頑張ります。

そんなわけで、スタッフの皆さんのお力を借りて、9月10日の第3戦は予定通り開催いたします。
R3は、8月8日エントリー開始です。
一人ひとりの心に残る最高のレースにしましょう。
たくさんのエントリーをお待ちしています!

Come On, Rookies !!*\(^o^)/*


R2リザルトはこちら

R2アルバムはこちら

川西ルーキーズクロスHPはこちら

投稿者:かまた  2017年08月06日 17:51

コメント

投稿者:にーちゃん   2017年08月06日 21:16

ルーキーズオープンの2ヒート目のラップタイムを見て嬉しくもあり悔しくもあり、複雑な気持ちになりました!
そのうちガチンコ勝負ができることを願い精進しようかな思いました。

投稿者:@BOSS   2017年08月07日 04:33

まだまだ、大丈夫です。
あれは、フォークオイルが漏れてフロントブレーキが効かなくなった為に、
にーちゃんがコーナーでオーバーランしない様に抑えて走ったタイムですから。
見ていて分かりましたよ。
でも、ガチで負ける日も、遠からず訪れますよね。
その日を出来る限り先にする様、これからも精進して下さい。笑 ^_^

投稿者:かまた   2017年08月07日 09:56

父親と息子は永遠のライバルですね。
お二人を見ていると本当にそう思います^_^
たいせいがお父さんの気持ちをわかる日が来るとしたら、彼自身が自分の子どもに追い抜かれる時かな〜。
その時、たいせいと昔話をしてみたいものです。
その日を楽しみに長生きしよ〜っと!笑

投稿者:くまちゃん   2017年08月12日 19:35

ご無沙汰しております。いつもこちらは拝見しているのですが
コメントまではできなくて。
今回のお話はちょっとグッと来ました。自分の親だと素直に
なれなくても、尊敬できる素敵な大人が周りにいて、その人に
厳しくも優しい言葉をかけられると心に響く事ってありますよね。
そんな大人が周りにいる事に感謝だなぁと思いました。
素敵な内容の話をありがとうございました(^^)

投稿者:かまた   2017年08月18日 08:51

>くまちゃん

お久しぶりです!
お返事がものすごく遅くなってしまってごめんなさい!
そして今もこうして読んでくださってありがとうございます^_^
今回、いつもみたいなレースレポを書くはずが、@BOSSとたいせいとのエピソード中心になりました。
でも、ルーキーズは結局こういうことを通して、大人も子どもも関係なく、一人ひとり成長していきましょうというのが主旨で開催しているレースなので、それが伝わったらいいなと思います。
くまちゃん、機会があったらぜひ川西にも遊びに来てくださいね!

コメントしてください


(「通りすがり」などの匿名系はご遠慮ください)



保存しますか?

書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます。
(コメントにURLが入っていると一時保留となる場合があります)